23/3/2024 (Sat.)

午前中に論文を最後まで書いた。この一週間は十分に目標を達成したので、それ以外の時間は雑事やリラックスすることに費やした。特に雑事についてはこういう日に消化しておくことがこれまでの仕事生活で学んできたことだった。ポール・J・シルヴィア(高橋さきの訳)『できる研究者の論文生産術——どうすれば「たくさん」書けるのか』には次のように書かれている。

たいていの人は、気の向いたときに一気に執筆する「一気書き」(binge writing)という無駄で非生産的な方法をとる(Kellogg, 1994)。書くのを先延ばしにして不安にかられ、ようやくやってきた土曜を執筆だけに費やしたりする。それでも、文章はある程度書ける。焦燥感も解消される。けれども、「一気書き」派が、執筆が進んでいないことで焦燥感や不安にかられている時間は、スケジュール派が実際に文章を執筆している時間より長い。スケジュール通りに執筆していれば、書けていないことに思い悩む必要はない。書く時間を見つけられないと愚痴る必要もないし、夏休みになったらどれほどの文章を書けるだろうと夢想する必要もなくなる。ということで、決めた時間に文章を書いて、文章のことなどさっさと忘れてしまおう。そう、心配すべきことなら、もっと他にいくらでもある——コーヒーを飲みすぎていないだろうか、犬が裏庭のきたない池の水を飲んでいないだろうか…とか。(pp. 15–16)

ここで「一気書き」の英語表現は “binge writing” とあるが、“binge” とは「ばか食い」や「どか食い」、「暴食」のことを指す。これと対比的に使われる表現に、「軽食」という意味に由来する “snack writing” という言い方がある。

スナック・ライターになることには実際に利益がある。自分自身、この一年で博論が提出できたのは意識的にスナック・ライティングを実践してきたからだと思う。そのために大切なポイントは、時間に余裕がある日のうちに済ませられる雑事は終えておくことだ。そうすることでそれなりに忙しい日にも一、二時間ほどの研究時間が捻出できることもある。

ということで、足音を立てて近づいてくる新年度にもスナック・ライティングができるようなスケジュールを立てることを来週は意識したい。

  • ポール・J・シルヴィア(高橋さきの訳)『できる研究者の論文生産術——どうすれば「たくさん」書けるのか』(講談社、2015)