17/3/2024 (Sun.)

午前中はオンラインで研究進捗報告会。午後は論文の第二セクションに入れる内容を検討。方向性はある程度決まっていたので、どの部分をフォーカスするかをメモした。その後は、全く別のテーマで以前に論文化できそうだと思っていた発見の投稿先を調べるなど。それに関連していくつか論文も読む。

そういえば、昨日借りた『クリティカル・リーディング入門』も読み終えた。文学を論じるための非常に優れた教科書になっていて、学生向けのリーディング・リストのなかでも「最初の一冊」的な位置づけができそうだ。

クリティカル・リーディングの第一歩は、まず書かれてあることを疑い、何気なく読み流してしまう箇所にあえて立ち止まって、仮説を立て、検証することです。……テキストにあたかも常識のように、あるいは真理であるかのように書かれていることを疑ってみることです。でもテキストのどこからそれを見つけ出すのかということになると、残念ながら経験とカンしかないという身も蓋もない結論になってしまうのですが、このカンは訓練によって磨くことができます。まず、大切なことは、みなさんが「何かおかしくないか、この考えはどうしても納得がいかない」といったものがあるはずだという態度で、テキストに接してみることです。簡単にいうとテキストを読んで「あれっ?」とか「おやっ?」と感じた箇所をピックアップしていくということです。そうした経験の積み重ねがカンを研ぎ澄ませてくれます。ひいてはこれが学問的な「問いを立てる」ということにつながっていくわけです。(p. 44)

ここで語られている問いの立て方が、本書では複数の箇所で実演される。さらに後半では、実際の授業で学生たちがどのように問いを立て、それを検証し、議論していくのかが臨場感をもって紹介される。見事としか言いようがないのだが、しかし、例えば村上春樹パン屋襲撃」についての学生たちの議論の様子などを読むと、あまりにも見事すぎて、これ本当に学部一年生の授業なんですか、と思う(このセクションでは、学生が教員(著者)の質問に対して「それはよく分からないですよ、だってまだ大学1年生ですよ」と答える箇所がある(p. 150))。